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5つのパンと2匹の魚

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方角定次郎

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 明治時代に信仰をもった一人の漁師のお話です。その人は方角定次郎といって、石川県小松市から10粁も離れた木津という村の半農半漁の家の青年でした。冬は今江潟という湖に小舟を浮かべてワカサギを漁るのを生業としていました。

 ある夜のことです。彼は他の青年たちと一緒にワカサギ漁に出かけたのですが、寒波に襲われて、この夜は一匹もワカサギは捕れませんでした。他の仲間たちは、『もう、今夜は駄目だ』と言って、さっさと引き揚げて行ってしまいました。それでも、方角青年だけは一人残って網を下ろしていました。夜明け方になって、網についている木の柄がギイギイと鳴るものですから、魚が入ったな、と期待して四ツ手綱を揚げました。ところが、ワカサギは一匹も入っていなくて、青い表紙の二冊の小さな本が網の中に入っていました。

 彼は、『変な本だなァ』と思って、舟の中の行火でその本を乾かし、中を開いて、読んでみました。すると、そこには〝我漁(すなどり)に行く〟…とありました。・・・・つまり、魚獲りですね。『おや、この本には魚獲りのことが書いてある。どうも、これは魚獲りの本らしいぞ』と独り言を言いながら読んでいきました。すると、〝舟の右のかたに網を下ろせ、然らば獲物あらん、乃ち網を下ろしたるに魚(魚)多しくて網を引き上ぐることあたわざりしかば……〟とありました。『何だと、網を舟の右に下ろせか、よし、下ろしてやれ!』と、彼は左側から右側へと網を移動しました。そうしたら、何と、今まで一匹も獲れなかったワカサギが獲れたこと、獲れたこと!入れ物がいっぱいになるほど、獲れました。 → つづく
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by carbondalle1996 | 2014-10-03 06:52 | 日記 | Comments(0)
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