さて、イエスはそこを出て、ツロとシドンとの地方へ行かれた。(マタイ15:21)
ツロとシドンとは、現在のレバノンです。レバノンはとても小さな国で、実は秋田県とほぼ同じくらいの広さで、そこに400万人の人々が住んでいます。首都はベイルートで昔は中東のパリと呼ばれた程美しい街だったそうですが、今は紛争によって荒れているそうです。秋田は秋田杉で有名ですが、レバノンも聖書時代からレバノン杉で有名です。国旗を見ると杉の木が描かれています。
ソロモン王はツロの王ヒラムに神殿建設のためにレバノンの香柏を願い、ソロモンの神殿はこのレバノンの香柏で建てられました。香柏と呼ばれるくらいにすばらしい香りを放つレバノンスギは、古代の神殿の内装材として、これにまさるものはなかったと言われています。現在は伐採が進み、レバノンの香柏と呼ばれた杉の木がどれであるかわからなくなってしまったそうです。
ツロは約束の地に入るかというと入ります。出エジプトをしたイスラエルの民はヨシュアに率いられて約束の地を征服します。そのときヨシュアはツロをアセル族の相続の地として決めました。ところが歴史上ユダヤ人がツロを収めたという記録はありません。理由はツロとシドンが強くて戦争に勝てなかったこと、そしてイスラエルの民にそこまでの信仰がなかったことかもしれません。以来そこはフェニキヤ人の地、つまりユダヤ人にとっては異邦人の地とされていました。